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映画・アミスタッドを見て
1997年・スピルバーグ監督による「アミスタッド」を最近テレビで見ました。
これは、実際にあった「アミスタッド号事件」を元にして作られた映画です。
Wikiに書かれている、この事件の概要は下記の通りです。(一部省略しています)


1839年キューバ沿岸を航行中、船内のアフリカ人奴隷たちが反乱を起こし、船を乗っ取った。
その後彼等はアメリカ合衆国ロングアイランドにてアメリカ海軍により逮捕、拘留された。
本事件に関連して米国で行われた裁判は、「アミスタッド号事件」として大きく注目を集め、
奴隷廃止運動を前進させる結果をもたらした。
1840年、連邦予審法廷は、これらのアフリカ人たちについては、もともとのアフリカ大陸からの
移送が非合法であったと認定し、彼等は法的に奴隷ではなく、自由の身にあると認めた。
1841年、合衆国最高裁判所によりこれらの事項が認められ、
1842年、これらのアフリカ人たちは故郷へ帰還した。


話のメインは裁判の進行の様子で、その中で、アミスタッド号におけるアフリカ人奴隷たちの
過酷な扱われ方が描かれています。
全てが真実という確証はなく、もちろん映画として演出されているわけですが、
それでもかなり事実に基づいて作られた映画だそうです。

奴隷貿易、奴隷船、もちろんそのような歴史の事実を知ってはいましたが、やはり映像で見ると、
もうそれは強烈で、言葉が出ません。奴隷船の中のシーンは、本当に、もう強烈の一言です。
奴隷として扱われた人々に関して、あんなすごい映像を見たのは初めてです。

このシーンを見るだけでも、非常に価値ある映画だと思います。
映画とはいえ、やはり映像はすごい。やはり文章を読んだり、イラストを見たりして、
なんとなくイメージしていた実態、想像をはるかに超える、凄まじい光景です。

ネットで、奴隷貿易について書かれていたことを交えながら、その内容を少し書いてみます。

まず、この時代のアフリカというのは、部族同士の闘争があった。
そして、このアフリカ人の部族同士が戦争で捕らえた捕虜を、アフリカの海岸までやって来た、
ヨーロッパからの奴隷商人に売り渡す。

集められた奴隷達は海岸の奴隷貯蔵庫に格納され、奴隷船が来るのを何日でも待たされる。
“貯蔵庫”という名前がすごい。とにかく何にしても、奴隷=物、と感じさせる言い回しなのです。
この貯蔵庫内が既に地獄絵図のような悲惨な状況だったとか。

そして主にアメリカなどの“消費国”に売られるため、船に奴隷が詰め込まれる。
この時代、地球の大海を横断するような外洋航海は、危険も大きく、コストも高くついた。
そのため、奴隷貿易の効率を上げるためには、1回の航海で、できるだけ多くの奴隷を運ぶ
必要があった。奴隷たちは、身動きできないほど詰め込まれ、一寸のムダもなく、
整然と並べられた。なんと・・この状態で、3ヶ月から9ヶ月も航海する。

奴隷船内に関しては、様々な文章を見ました。例えばこれです。

「奴隷船には複数の奴隷商人の商品(奴隷)が積み込まれるため、
所有者の見分けがつくように、牛馬のように腕や腹に烙印を押され、
二人ずつ鎖でつながれて暗い船倉に放り込まれる。
船倉は天井が低く、立つことも横になることもできない。
奴隷たちはそこに詰め込まれ、汗まみれ、くそまみれの生き地獄が待っている。
だから航海中に半分以上は死亡した。
死体は無造作に大西洋に捨てられ、魚の餌食にされたのである。」

映画の映像も、かなりリアルで、作られた物とは思えないほどでした。

食事の時間には、鎖でつながれた奴隷たちが手をさしのべ、そこにお玉ですくったどろっとした
食べ物を無造作に与えていく。ありつけない者もいる。
となりの人のほおについた食べ物をなめる者もいる。

ある時は船上に奴隷たちを並べさせ、一人の奴隷が、何かしたのかただの見せしめなのか、
はり付けられて鞭で打たれ、奴隷たちに返り血が飛ぶ。

赤ん坊を抱いた母親が、自ら船から飛び込むシーンもあった。
ある記述によると、飛び込み、つまり自殺防止のため、
船の周りにはネットが張りめぐらされていたとか。

また、病気にかかった者や、反発した者は、随時海に投げ込んでおり、
そのため餌食にありつけることを知ったサメたちが、船についてきたとか。
映画では、奴隷たちの足に重石が付けられ、海に沈められる様子が写されていましたが、
実際には、海に放り込まれたとたんサメの餌食となった、という記述を多く見ました。

そのような状況で、目的地にたどり着くまでには多くの死者が出ます。
やっとたどり着くと、今度は“せり”が行われて、奴隷たちが売買されていきます。
奴隷たちは競り台に立たされ、魚や野菜の競りのごとく、大声で値段やらがかわされます。
健康でたくましい奴隷は優良品とされ、そうでない場合は、束で売られることもあったという記述
を読みました。八百屋か何かのようです。

この映画での、特に奴隷船の中での様子、売買されていく様子を、呆然としながら見ていました。
本当に“物”なんです。裁判中に交わされる言葉にしても、積み荷だの目録だの、“物”なのです。

家畜動物たちの、悲惨な輸送の様子の映像を見たことがあります。
トラックにすし詰めにされ、小窓から、牛たちが、なんとか顔を出そうと必死な様子でした。
手でわしづかみにされ、ボールのように荷台に投げ込まれていく鶏たち、
過酷な輸送中に死んでしまい、道端に放り出された豚、等々の様子を見て、涙が出ました。

しかし、今回のこの物のように扱われる“奴隷”と呼ばれた人々を見て、
本当に驚きすぎてしまい、涙も通り越してしまったような感じがしました。
あのような扱いができるということは、彼らが同じ人間に見えなかったということですからね。
映像を見て、どうして同じ人間に対して、動物とは明らかに違う、自分たちと同じ体をした人間に
対して、どうしたらあんな扱いができるのか。
(もちろん、動物だったらいいというわけではないですが)
その理由は、彼らを人間と見なしていなかったからだと思います。
そして、その感覚に本当に驚いてしまいます。

なんというか、あぁ、昔の人は残酷だったんだなぁ、なんていう感覚ではないのです。
同じ人間として、人間には、私自身も含めて、こんなに残酷になれる部分があるのかと、
何度も言いますが、驚いてしまいます。
人類の歴史は、今の人々にもつながりがあるように感じるので、昔のこととはいえ、
他人事とは思えません。しかも、たった150年ほど前の話ですからね。

現在でも、戦争や私たちの目につかない所で行われているようなことで、
やはり人が物として扱われているようなことがあります。
でもこの時期には、公然と、堂々と、人間を物として扱っていたのですから、
なんという感覚を人間は持っていたのだろうと思います。

もちろんこの奴隷制の問題に限らず、例えば原爆、アウシュビッツ、共産党の革命等々、
本当に多くの残酷極まりない事が行われてきたわけですが、
この奴隷制度については、初めて映像で見たということもあり、衝撃を覚えました。



今私たちが、この奴隷制度における人の扱い方について驚くのと同じように、
これから先、今の私たちが動物に対して行っていることについて、驚く日が来るだろう、
といったことを聞いたことが何度かあります。
そうなることを願いたいです。

同じ人間ではなくても、命ある動物、感情を持つ動物です。

工場内で動物が徹底管理されて、人工的に絶え間なく生み出され、
また、人の食料になりうる飼料を大量生産してそれらの動物に与え、
主に先進国の飽食社会を支えていたということ。

まだ母親や兄弟と離れるべきではない、幼い動物に値札を付け、ケージに閉じこめ、
ある時には、値下げ品だの特価だのをその値札に書き込み、“販売”していたということ。

“ファッション” “おしゃれ” “流行”のためだけに、動物たちの毛皮をはがしまくって、
真っ赤な肉の塊の山を作り上げていたこと。

“不必要”と決めた犬と猫を、施設に持って行って、“殺して”もらうことができたこと。
そしてそれに“安楽死”なんて言い方がされていたこと。そしてその数が莫大であったこと。

このようなことを聞かされて、いつか子供たちが、うそでしょ!なんて言う日が来るでしょうか。





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【2009/05/16 14:09】 その他 | トラックバック(0) | コメント(4) |
<<どうして人を殺してはいけないの?という質問 | ホーム | 「アートとして餓死するまで展示された犬」>>
コメント
Rayさん、こんにちは。私は「アミスタッド号事件」のことを全く知りませんでしたが、南北戦争の終結より四半世紀も前に起きた事件でアメリカの司法当局が反乱を起こしたアフリカ人奴隷たちの自由を認めたわけですから、本当に画期的な歴史を動かすような事件だったのだと思います。

19世紀半ばに起きたこの事件にしても20世紀半ばの公民権運動にしても、黒人解放運動の歴史は物のように扱われ差別・抑圧されてきたアフリカ人奴隷やその子孫たちが自ら立ち上がることによって前進しました。彼らは時には暴力に訴えることもありましたが、多くの人たちの意識を変え歴史を動かす原動力になったのは、やはり言葉の力だと思います。彼らの魂の叫びが言葉となって発せられ、それに呼応する人たちが少しずつ増えていくことで歴史が動いたのだと思います。

そのように考えると、やはり動物たちが言葉を持っていないということはアニマルライツにとって致命的のように思えてしまいます。物のように扱われ殺されていく無数の動物たちの魂の叫びが、もし彼らの言葉として発せられていたなら、毛皮や肉などの消費量もこんなに加速度的に伸びることはなかったと思います。

Rayさんの文章を読んでいてとても嬉しかったのは、人を思いやる想像力と動物を思いやる想像力が何の違和感もなくごく自然につながっていることでした。今の時代はあらゆる物事が切り離されていて、物事のつながりが見えにくい時代ですよね。情報の洪水に首まで浸かって途方に暮れている人もいれば、自分にとって都合の良い情報や快適な情報だけを取り入れ、それ以外は見ざる聞かざるを決め込む人も多いかと思います。相手を思いやるにしても、想像力の及ぶ範囲をあらかじめ限定して、自分の家族や親しい友人、ペットの犬や猫までにしておく方が楽ですもんね。Rayさんのように伸びやかで自然な想像力を持った人がどんどん増えて行ったなら、動物たちの未来もずいぶん明るいものになると思うのですが・・・。
【2009/05/17 17:57】 URL | モー #-[ 編集]
モーさん、こんにちは!

この映画、スピルバーグなのに聞いたこともなくて・・この作品の前後には、シンドラーのリスト、ジュラシックパークなどの有名な作品があるわけですが、このアミスタッドは、興行収入もよくなかったそうです。
確かに映画自体は、裁判の進行の様子が少し退屈との意見もあるようですが、奴隷制の実態を描き出したという意味では、とても貴重だと思うんですけどね。
私もたまたまテレビでやっていて、見てびっくりしたんです!

声、そうですね。本当にそうだと思います。確かに動物の必死な抵抗の様子、その表情というのも相当なインパクトがあるわけですが、それが声・言葉だったとしたら・・やはり今の現状はないかも知れないですね。
つまり、本当に、私たち人間が何とかしなければいけない、人間次第と言うことですよね。
彼らは行動に起こすことができないわけですからね。いえ、行動に起こしたとしても、やはりそこに言葉はないですからね。悲しい話ですが。

>自分にとって都合の良い情報や快適な情報だけを取り入れ、それ以外は見ざる聞かざるを決め込む人も多いかと思います。相手を思いやるにしても、想像力の及ぶ範囲をあらかじめ限定して、自分の家族や親しい友人、ペットの犬や猫までにしておく方が楽ですもんね。

そうですね。想像力の及ぶ範囲を限定する・・その通りですね。いやぁ・・毎回モーさんの言い表し方というのは、とても的を得ていると言いますか、端的に鋭く表現されて、なるほどーとうなずいてしまいます!勉強になります!
私もですね、例えば疲れている時には、残酷なニュースは聞きたくないとか、悲しい動物の映像は見たくないとか、そう言うことがあります。
そんな時、あぁ、当事者でない私は、その事実を見たり知ったりすることですら、そのタイミング“選ぶ”ことができちゃうんだな、なんとも気楽な立場だなと、自己嫌悪することがあります。

快適な情報・・以前の私は、この様な情報だけを取り入れていたと思います。でもやはり、人間として、これは不幸なことだと今では感じます。うわべでは楽しく気楽でいられても、やはり人間として、悲しいことだと感じますね。

【2009/05/19 23:36】 URL | ray #-[ 編集]

日本では動物実験を行っている会社がたくさんあるんだってあの有名な・・・
1花王
2エステー
3ジョンソンエンドジョンソン
4フマキラー
5ファンケル
6ユニリーバ
7ライオン
8資生堂
9メナード
みんな知ってる会社でしょ???
【2009/05/24 11:19】 URL | mikako #-[ 編集]
すみません、mikakoさん、お返事がとても遅くなりました。
情報ありがとうございます!
どこも、CMでいつも見かけるものばかりですね。
【2009/07/05 12:24】 URL | ray(管理人) #-[ 編集]
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